実施期間:平成23年2月~平成26年3月,研究代表者東京大学 工学系研究科 精密工学専攻 准教授 山本晃生

概要

 本研究では,静電気力を用いたサーフェスアクチュエーション技術を主として活用することで,フラットパネルディスプレイ上において新しい触力覚インタラクションを実現することをめざしています.本研究におけるサーフェスアクチュエーションとは,電極群を形成した薄型平面デバイスを用いて,平面上での物体駆動や,触刺激提示などを可能とする技術のことをさします.そうしたサーフェスアクチュエーション技術は,構成材料の選択によっては,透明化したり,柔軟に変形させたりすることが可能です.そうした特徴を上手に活用することで,平面ディスプレイ内の映像情報と統合した触力覚情報提示など,新しいタイプの触力覚インタラクション技術が実現できるものと期待できます.

 本研究においては,静電気力を用いたサーフェスアクチュエーション技術に関する基盤技術の研究を進めるとともに,その応用技術として,Tangible Interface(触れるインタフェース),Haptic Interface(力を伝えるインタフェース),Tactile Interface(触感を伝えるインタフェース)などの触力覚提示デバイスの開発を進めます.

主な研究成果

透明静電アクチュエータ

 スクリーン印刷技術を活用して透明な平面静電アクチュエータを開発しています.透明な固定子電極上で,同じく透明な移動子電極を同期駆動で動かすことや,紙,プラスチックフィルム等を誘導駆動(非同期)で動かすことが可能です.また,ディスプレイ上でのインタラクションにより適した駆動方式を模索し,新しい駆動原理の提案を行っています.


【透明静電アクチュエータ(同期駆動式)のデモンストレーション】


【2自由度透明静電アクチュエータ】


【透明静電アクチュエータによる紙のハンドリング】


Tangible Interface(アクティブデスクトップ:触れるインタフェース)

 透明静電アクチュエータをフラットパネルディスプレイ上に統合することで,ディスプレイ上での物体駆動を可能とします.利用するアクチュエータの駆動方式により実現されるインタラクションは様々ですが,例えば,映像世界と現実物体の動きをリンクしてユーザに情報提示することや,実物体を介してユーザが映像とインタラクションすることなどが可能となります.


【紙を媒介としたTangible Interaction: 紙を操作して映像の猫とインタラクションが可能】


【静電アクチュエータによるMixed Reality System:映像情報と同期して画面上の物体が動きます】


Haptic Interface(力覚提示デバイス:力を伝えるインタフェース)

 サーフェスアクチュエーション技術を活用した力覚提示(ハプティック)デバイスの研究を行っています.同期駆動式の静電アクチュエータを用いたMRI(磁気共鳴画像診断装置)対応の非磁性ハプティックデバイス開発や,平面電極により発生する静電吸引力を活用してフラットパネルディスプレイ上で触力覚提示を行うマルチタッチハプティックディスプレイの提案などを行っています.

非磁性ハプティックデバイス
【静電アクチュエータによる非磁性2自由度ハプティックデバイス】

マルチタッチ・ハプティクス
【静電吸引力を用いたマルチタッチ・パッシブ力覚提示】


Tactile Interface(触感提示デバイス:触感を伝えるインタフェース)

 サーフェスアクチュエーション技術との将来的な統合をめざして,物体に触れた際に指先に感ずる触感を再現提示する技術の研究を進めています.触感提示には様々な種類がありますが,本研究では,遠隔触診などへの応用を念頭に,硬軟感やしこり感などの再現提示技術を中心に研究しています.現在は,触感要因の解明や触感提示原理の提案に研究の主眼をおいているため,サーフェスアクチュエーション技術との統合には至っていませんが,将来的にはデバイスを簡素化,小型化することで,上述の各種システムと統合することをめざしています.

Lump Sensation Display
【柔らかさ感と,その中にある「しこり感」をバーチャルに再現提示する触感提示装置】

受賞

主な発表文献

静電アクチュエータ関連

アクティブデスクトップ関連

力覚提示デバイス関連

触感提示デバイス関連

リンク