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MRI対応メカトロニクス
〜強磁場環境でのアクチュエーション〜


MRI(磁気共鳴画像診断装置)は,核磁気共鳴と呼ばれる現象を利用し,放射線への被曝なしに生体の断面画像を取得する装置です.MRIは主に医療診断などに用いられますが,その優れた機能から,脳科学やバイオメカニクスなどといった基礎研究の分野でも重要なツールとして利用されています.

MRIは強い磁場とRFパルスを用いるため,電磁モータを用いた機器をMRI室内に持ち込むことは,安全性,性能,ノイズの面から問題があります.そこで,MRI室内にメカトロニクス機器を持ち込む場合,電磁モータに代わる非磁性のモータを用いて機器を構成する必要があります.本研究室では,静電モータ,超音波モータなどの非磁性モータを用いて,MRI用のメカトロニクス機器を開発しています.


現在,本研究室でメインに利用しているのは,静電フィルムモータです.左の写真は静電モータがMRIの中で動作している様子です.静電モータが非磁性であるといっても,MRI近傍で利用すると,条件によって,MR画像にノイズが出たり,モータ動作に影響があったりします.そこで,様々な条件で駆動を行い,MRIとの対応性を評価しています.

この静電モータの応用例の一つとして,MRI中で人の腕などを初めとする生体試料に対して力を加え,その変形の様子を可視化する実験を行っています.静電モータで正確な繰り返し動作を発生させ,対象となる試料に繰り返し同じ変形を起こします.その様子を,トリガ同期しながらMRIで撮像すると変形のムービーが得られます.こうして変形を可視化した結果から,生体組織の機械的特性を詳しく解析できると期待しています.なお,この研究は,理化学研究所 生体力学シミュレーション研究プロジェクトと共同で実施しています.

別の応用として,静電モータなどの非磁性モータを使ってハプティックデバイスの製作を試みています.MRI装置の中で被験者に様々な運動をさせ,そのときの様々な応答を測定することで,人の運動制御機能に関する研究がより一段と発展することが期待できます.左の写真は静電フィルムモータを用いて製作したジョイスティック型の2自由度ハプティックデバイスの一例です.この研究は,スイスのEPFL(ローザンヌ連邦工科大学)と共同で実施しており,写真のデバイスも共同で試作しています.


主な関連発表文献:

  • "Evaluation of MR-compatibility of Electrostatic Linear Motor", Proceedings of IEEE ICRA 2005, pp. 3669-3674 (2005/4)
  • 「静電フィルムモータを用いたジョイスティック型2自由度ハプティックデバイスの試作」,ロボティクス・メカトロニクス講演会'06 講演論文集, 1P1-D02 (2006/5)
  • 「静電フィルムモータを用いたハプティックデバイスの検討」,豊田研究報告,No. 59,pp. 133-137 (2006/5)
  • "Actuation methods for applications in MR environments", Concepts in Magnetic Resonance Part B: Magnetic Resonance Engineering, Vol. 29B, Issue 4, pp. 191-209 (2006/10)
  • "Motion Generation in MR Environment Using Electrostatic Film Motor for Motion Triggered cine-MRI", IEEE/ASME Transactions on Mechatronics, Vol. 13, No. 3, pp. 278-285 (2008/6)


本研究の一部は,三豊科学技術振興協会 研究助成,科学研究費補助金・特定領域研究「アクチュエータ」(No. 16078203)の助成などにより行われました.