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力覚提示技術とその応用に関する研究
〜力覚による非接触搬送支援や,MRI環境での力覚提示など〜


操作者(ユーザ)に対して力のフィードバックを与えられるデバイスのことを,ハプティックデバイスとか力覚提示デバイスと呼んでいます.ハプティックデバイスを,バーチャルリアリティやゲーム,あるいは,遠隔操作などの分野に利用することで,ユーザは仮想世界や遠隔地の物体からの反力を感じることができ,臨場感や操作性に優れたインタラクションが実現できます.

これまで,ハプティックデバイスの研究は,バーチャルリアリティや遠隔操作の分野を中心に行われてきました.これに対し,本研究では,ハプティックデバイスの技術をそれらとは異なる新しい分野に適用することを検討しています.


【力覚提示による非接触搬送支援】

左の絵は,本研究室で提案している非接触浮上機構と力覚提示の統合による搬送操作システム,Haptic Tweezer の概念図です.このシステムでは,力覚提示によるサポートで,物体を非接触のまま自在に搬送できることをめざしています.これにより,接触搬送の難しい様々な物体(例えば,微小物体,半導体ウェハ,塗装物など)を,直感的な操作により自在に非接触搬送できると期待しています.

システムの非接触浮上機構部には,磁気浮上や静電浮上などの浮上技術を用います.これらの非接触浮上技術は,電磁力を発生するコイル(もしくは,静電気力を発生する電極)と,浮上対象物の位置を測るセンサから構成されます.センサから得られる浮上対象物の位置情報をもとにフィードバック制御を行うことで,対象物を磁力や静電気力で空中に非接触保持することができます.しかし,残念ながらフィードバック制御で安定化できる範囲には限界があるため,これらの非接触浮上機構を気軽に動かす(振り回す?)ことはできません.

そこで,本研究では,非接触浮上機構を力覚提示装置に取り付け,ユーザは力覚提示装置を介して非接触浮上機構を動かす,という構成を提案しています.これにより,浮上機構の状態に応じてユーザに適切な力のフィードバックを与えることが可能となり,安定な浮上を損なうことなく,ユーザが自在に浮上機構を動かすことができるようになります.

この研究の中では,非接触浮上と力覚提示をどのように統合するかを研究するだけでなく,搬送という観点から,浮上機構自体の特性や構成に関しても研究を進めています.これまでの研究で,浮上機構の制御器に積分特性を持たせることで,浮上物体のリリースが自動的に実現できることを明らかとしたり,浮上機構を傾斜させることで搬送速度を向上させる技術などを実現しています.


【MR対応アクチュエータを用いたハプティックデバイス】

近年,ハプティックデバイスの新しい応用として,MRI(磁気共鳴画像診断)環境下での利用が模索されています.MRI装置の中で被験者にハプティックデバイスで様々な運動をさせ,そのときの様々な応答を測定することで,人の運動制御機能に関する研究がより一段と発展することが期待できます.しかし,MRIは強磁場を用いて撮像するため,一般に多く用いられている電磁モータを気軽に持ち込むことはできません.そこで,本研究室では,静電モータなどの非磁性のモータを用いてMRI環境で自由に使えるハプティックデバイスを開発しています.

左の写真は静電フィルムモータを用いて製作したジョイスティック型の2自由度ハプティックデバイスの例です.この研究は,スイスのEPFL(ローザンヌ連邦工科大学)と共同で実施しており,写真のデバイスも共同で試作しています.


主な関連発表文献:

【非接触物体搬送支援関連】

  • "The Concept of "Haptic Tweezer", a Non-Contact Object Handling System Using Levitation Techniques and Haptics Mechatronics"Mechatronics, 17 (7), pp. 345-356 (2007/9)
  • "Non-contact Handling of Hard-Disk Media by Human Operator Using Electrostatic Levitation and Haptic Device", Proceedings of IEEE/RSJ IROS 2007, pp. 1106-1111 (2007/10)
  • "Development of SCARA-Type Haptic Device for Electrostatic Non-Contact Handling System", Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, 2 (2), pp. 180-190 (2008/4)
  • Transportation of Hard Disk Media Using Electrostatic Levitation and Tilt Control", Proceedings of IEEE ICRA 2008, pp. 755-760 (2008/5)
  • "Automatic Object Release in Magnetic and Electrostatic Levitation Systems", Precision Engineering, to appear (available online as "Articles in Press")
【MR対応ハプティックデバイス】
  • "Development of a 1-DOF Haptic Device Using an Electrostatic Film Motor for fMRI studies", Proceedings of IEEE ICRA 2006, pp. 4378-4380 (2006/5)
  • 「静電フィルムモータを用いたジョイスティック型2自由度ハプティックデバイスの試作」,ロボティクス・メカトロニクス講演会'06 講演論文集, 1P1-D02 (2006/5)
  • 「静電フィルムモータを用いたハプティックデバイスの検討」,豊田研究報告,No. 59,pp. 133-137 (2006/5)


関連の学術表彰:

  • 第10回日本バーチャルリアリティ学会,学術奨励賞
  • Eurohaptics 2006, Best Student Paper Award
  • IEEE ICRA2008, Finalist for best manupulation paper
  • Elsevier & IFAC, Mechatronics Journal Best Paper Prize


本研究の一部は,三豊科学技術振興協会 研究助成,科学研究費補助金・基盤研究B(No. 18360117),特定領域研究「アクチュエータ」(No. 16078203)の助成などにより行われました.